· 

売却前に“家族で話しておくべきこと”とは?

― 相続で揉めやすい実家問題 ―

実家の売却相談で多いのは、相続をきっかけに兄弟で話し合うケースです。

特に揉めやすいのが、

  • 実家に住んでいる人

  • 住んでいない人

 この立場の違いです。

 

相続で実家が問題になる理由は、

「公平に分けたい」という考えと

「生活を守りたい」という現実がぶつかるからです。

 

どちらも間違っていません。だからこそ難しいのです。

よくある主張のすれ違い

① 「一緒に暮らしていた恩恵を受けていたのでは?」

住んでいない兄弟から出やすい言葉です。

  • 家賃がかからなかった

  • 親の近くで生活できた

  • 固定資産税の負担はどうだったのか

感情としては理解できます。しかし、住んでいる側にも、

  • 親の世話をしていた

  • 修繕費を出していた

  • 生活基盤がそこにある

という事情があります。ここは数字より“感情”が強く出る部分です。

現実問題:お金がなければどうなるか

相続では、原則として公平に分ける必要があります。

もし、

  • 不動産の価値が3,000万円

  • 相続人が3人

なら、1人1,000万円相当です。住んでいる人が家を取得するなら、他の相続人に代償金を支払う必要があります。

しかし、その現金がない場合どうするのか?ここで現実が動きます。

選択肢は大きく3つ

  1. 売却して現金分割

  2. 住んでいる人がローンを組んで買い取る

  3. 共有のままにする

多くの場合、資金不足で「売却」が現実的になります。その結果、住んでいる人は住まいを探さなければならない。これが一番つらい部分です。

広い土地ほど揉めやすい理由

地方では、実家が広い敷地というケースも多いです。

すると話はこうなります。「分筆して分ければいいのでは?」

理屈上は可能です。しかし実際には、

  • 接道条件の問題

  • 上下水道の引き込み

  • 建築基準法上の制限

  • 分筆費用

など、簡単ではありません。土地の形状次第では、分けたことで価値が下がる場合もあります。

 

ここでも意見が割れます。

実際に起きやすい揉めパターン

✔ 住んでいる人が「出ていくしかない」となる
✔ 兄弟間で金額評価が合わない
✔ 「昔のこと」を持ち出して感情論になる
✔ 共有のまま放置して次世代でさらに複雑化

 

これは特別な話ではありません。
本当によくあります。

 

世代によっては、自分の親世代で似た経験をしている方も多いはずです。

「あのとき揉めたな…」という記憶がある方も少なくありません。

だからこそ大切なのは、立場ではなく、仕組みで整理すること。

 

感情をぶつけ合うと終わりません。

売却する場合に整理したいこと

① 不動産の正確な評価額

感覚ではなく、相場を知ること。


② 代償金はいくらになるのか

具体的な数字を出す。


③ 売却した場合の手残り

税金・費用を差し引いた現実額。


④ 分筆が可能かどうか

法律的・物理的に可能かを確認。

補足:法的背景

相続では原則として共有状態になります。
売却には共有者全員の同意が必要です。

 

※民法第898条(共有)、第906条(遺産分割方法)

 

注意点

✔ 「恩恵」という言葉は火種になりやすい
✔ 共有放置は次の相続でさらに複雑化
✔ 数字を出さない話し合いは危険

 

 第三者が入るだけで、感情は落ち着くことが多いです。

まとめ

 

相続による実家問題は、誰かが得をする話ではありません。

公平性を取れば、生活に影響が出る人がいる。生活を守れば、公平性に疑問が出る。

だからこそ、早い段階で現実的な選択肢を整理することが重要です。

売却は悪い選択ではありません。ただし、感情を無視した決断は後に残ります。

焦らず、しかし放置せず。それが、次の世代に負担を残さないための第一歩です。